SHIRAHA CPA Profession Office
白羽公認会計士事務所

マテリアリティ(重要課題)を特定

ESG-重要課題にどう取り組む?

限りある資源を有効に活用して、事業活動の持続可能性を高め、企業価値向上を目指すという観点からは、自社の企業価値と関係が深いマテリアリティ(重要課題)を特定し、それらに焦点を当てて取組みを進めることが重要になってくる、と言われています。マテリアリティの整理・絞込にあたって参照した基準やフレームワーク、ESG評価機関(MSCI、FTSE、S&P、CDPなど)による調査結果などの利用、投資家や従業員などのステークホルダーとの対話を利用することが考えられます。また、リスクと機会の顕在化時期を想定し、時間軸を重要度の評価に反映することも考えられます。
ESG重要課題への取り組みを鳥瞰し、何からどう取り組むかを考えましょう。自社に適したアプローチを選びましょう。企業の存在意義・経営理念を起点とし、外部要因(基準・指標等)を踏まえてマテリアリティ(重要課題)を特定するアプローチを選択することが第1歩と考えます。
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マテリアリティ特定

マテリアリティを特定する

企業がESG課題に取り組むにあたり、課題をリストアップし、マテリアリティ(重要課題)を特定するプロセスを通じて絞り込むことが求められる。絞り込みにあたり、判断の軸を設定することがポイントであり、その軸を経営者による十分な議論により合意して決定するプロセスを経ることになる。
マテリアリティの整理・絞込にあたって参照した基準やフレームワーク、ESG評価機関(MSCI、FTSE、S&P、CDPなど)による調査結果などの利用、投資家や従業員などのステークホルダーとの対話を利用することが考えられる。また、リスクと機会の顕在化時期を想定し、時間軸を重要度の評価に反映することも考えられる。

マテリアリティとは、

財務会計に慣れ親しんできた者にとってマテリアリティ(Materiarity)とは直感的に”重要性”と答えます。これは、財務的マテリアリティ(企業の経営成績や財政状態に及ぼす影響)であり、サステナビリティ報告においては、社会的マテリアリティ(環境や社会に及ぼす影響)についてもマテリアリティの定義に含まれます。
社会的マテリアリティについてGRIでは「報告組織が経済、環境、社会に影響を与える著しいインパクトを反映している項目、又はステークホルダーの評価や意思決定に対して実質的な影響を及ぼす項目」としています。
SASBは「業種における典型的な企業の経営成績や財政状態に当然、影響すると考えられる最低限のトピック」としています。
東証はESG情報開示実践ガイドブックにおいて「ESG投資におけるマテリアリティとは、自社の戦略、ひいては企業価値に影響を与える重要なESG課題」と定義づけており、わが国の実務において推奨されています。
IFRS財団が2022年3月に公表したサステナビリティ開示基準の草案で「サステナビリティ関連財務開示の目的は、主要な利用者に報告企業がさらされている重大な(significant)サステナビリティ関連のリスク及び機会のすべてに関して重要性がある(material)情報を提供し、企業の企業価値の評価を行うことを可能とし、企業への資源提供に関する意思決定を行う際に有用であることにある」としています。

シングルとダブル、ダイナミック

IIRC(国際統合報告評議会)を含む5団体はマテリアリティを”ダイナミック・マテリアリティ”という概念で、「経済、環境、人への重要な影響を反映した事項の報告」と示しています。
シングル・マテリアリティは投資家が財務的な企業価値を判断基準として報告しています。ダブル・マテリアリティは財務的なインパクトだけでなくステークホルダーや社会にとっての重要性も含めた総合的な判断基準として報告しています。
マテリアリティには3つの層があることを示したうえで状況や知見に応じて変化しうる、すなわちダイナミック(動的)なものとして捉えるべきという整理をしています。

ダイナミック・マテリアリティ