SHIRAHA CPA Profession Office
白羽公認会計士事務所

ESG投資を理解する

ESG投資を知る

ESG投資は投資判断にあたり、投資先企業の財務情報のみならず、非財務情報であるESG課題に関する企業の情報を考慮する投資を言います。GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は世界のESG投資に関する統計資料をレポートとして公表しており、その中で運用資産は年々増加しています。GSIAはレポートの中でESG投資の手法を7分類で示しています。GSIR-20201.pdf (gsi-alliance.org)
2020年において世界では「ESGインテグレーション」が最も多く利用されており、日本も同様です。次に世界全体では「ネガティブ/除外スクリーニング」が多く利用されていますが、日本では「コーポレートエンゲージメントと株主行動」が多く利用されています。
ESG投資の手法(GSIAレポートより)
ESG integration ESGインテグレーション 投資先の分析・選定にあたり財務情報のみならずESG情報も含めて分析
Corporate engagement & shareholder action コーポレートエンゲージメントと株主行動 ESGに基のガイドラインに従い、企業へのエンゲージメント、株主提案、議決権行使することで企業行動に影響
Norms-based screening 一般的なスクリーニング UN,ILO,OECD,トランスペアレンシーなどのNGOが発効する国際的・一般的な最低限の規準に反する企業を除外
Negative/exclusionary screening ネガティブ/除外スクリーニング 特定の業種、企業、国を投資対象から除外(武器やたばこといった商品や動物実験や人権問題のある国など)
Best-in-class/positive screening ベストインクラス/ポジティブスクリーニング 業種内で比較してESGパフォーマンスの評価が高い企業に投資
Sustainability themed/thematic investing サステナビリティ/テーマ投資 サステナビリティに関する特定のテーマや資本に対して投資
Impact investing and community investing インパクト/コミュニティ投資 特定の社会課題や環境課題を解決することを目的に投資

<投資に対するリターンにESG要素は如何に影響するか、>
企業の市場価値を判断するうえでESG要素が株価にどの様に影響するのか、業績に積極的な影響を及ぼすのか、あるいはネガティブな要素の軽減という影響を及ぼすのか、その評価は投資家がその目的に応じてESG情報を如何に利用するかにより異なる可能性があります。企業は自社の評価に重要な影響を及ぼす可能性のある課題、すなわちマテリアリティを特定し、その課題に対する対応と成果をESG開示を通じて投資家と良好なコミュニケーションを図ることで高い市場価値を得られるものと考えます。

ESG投資と情報開示

投資行動にESG情報を利用する投資家が求める情報は「ESGインテグレーション」に分類される手法における投資判断に有用な情報といえます。比較可能性を確保する財務情報のように形式的な開示よりも企業の特性に応じてマテリアリティ(重要課題)を特定しその課題にいかに取り組んでいくかを理解できるような情報を求めてられていると考えます。
わが国における最大の機関投資家である年金積立金の管理・運用をするGPIFは、投資先及び市場全体の持続的成長が運用資産の長期的な投資収益の拡大に必要であるとの考え方を踏まえ、被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から、財務的な要素に加えて非財務的要素であるESGを考慮した投資を推進するとしています。GPIFは投資先のESG評価の精度向上のためには企業側のESG情報開示の促進とESG評価手法の改善が不可欠であるとして、情報開示の促進を求めています。GPIFは自らのESGに関する取り組みとして、TCFDフレームワークに沿って、気候変動の課題のみならずESG課題に関する取り組み全般について開示をしています。
また、”GPIFが運用にあたって準拠する積立金基本指針は2020年に改正され、「被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から、財務的な要素に加えて、非財務的要素であるESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮した投資を推進することについて、個別に検討した上で、必要な取組を行うこと」が定められました。GPIFではこの指針や中期計画に基づきESG投資を行っています。”と表明しています。

「2021年度 ESG活動報告」を刊行しました|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)
「2020年度 ESG活動報告」を刊行しました |年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)